恋兎2 |
雌兎は自分は幸せだと思い込もうとしていました。 愛する雄兎がいて、自分も雄兎も健康で、衣食住に困ることなく、明日の憂いはないはずだと指を折って確かめます。 けれど雌兎の心は晴れませんでした。 +++ 「いい? 私はちゃんと分かってなくちゃいけないわ」 雌兎はせわしなく巣の中を歩いては呟きました。 「彼には彼の生活があって、それを尊重しなくちゃいけないわ」 どうやら雌兎は感情を理屈で押し込めようというしているようです。 「私がどれだけ彼を好きだからって、独り占め出来るじゃわけないのよ」 雌兎のふかふかの耳が、気負ってぴんと伸ばされます。 「私が彼を一番に好きだからって、私のことも一番に想ってくれだなんていう理屈は通らないわ」 雌兎は、理屈好きな彼に習って客観的に考えます。 「そうよ。私のことを一番に想ってくれないことが私を嫌いになったとイコールになるわけではないわ。彼の愛情を疑ってはダメだわ」 ようやく救いの言葉を見出せそうになって、雌兎は耐えられずにベッドに倒れこみました。瞳には涙が浮かんでいます。 「でも、頭と心は別なのよ・・・・・・やっぱり会いたいわ・・・」 雌兎は自分がないものねだりをしてるのが分かっていても、どうしようもありませんでした。 +++ その翌日。 「ずっと会えなくて、ごめんよ」 雄兎が優しい言葉をかけます。 「いいのよ。あなたが忙しいのは知ってるもの。こうして来てくれて嬉しいわ」 こうして今夜も雌兎は『惚れた方が負け』という言葉を思い出しては頭を抱えるのでした。 |
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