-11-
その夜、新宇宙は惑星で満ちて完成した。 聖獣は変態し、額の宝石を雄雄しい角に変えて、翼は大きく優美な曲線を描いた。 紅玉の瞳は聡明さを増し、深い光を吸い込んで創造主を見つめる。 穏やかな瞳。 「アルフォンシア・・・」 アンジェリークは、鼻頭を摺り寄せてくる聖獣の首をそっと撫でた。 「今までありがとう。・・・これからも、よろしくね」 少女は瞳に光を宿し、目の前に広がる新宇宙を見据えてそう言った。 ******* 「・・・完成したか・・・」 王立研究院では、一人の青年がモニターに映し出された数字を見て呟く。 「失礼します」 落ち着いたブルーを基調とした補佐官の執務室は、上品で好ましい。 「綺麗な花ですわね。・・・私に?」 ロザリアは艶然と微笑んだ。 「先ほど新宇宙が完成しました。完成させたのはアンジェリーク・コレットです。聖獣も1つの生命体に融合し、エネルギー値は安定した エルンストが報告をしている間、ロザリアは報告書に目を通し数回うなずいた。 「ご苦労様。これはわたくしの方から陛下にお伝えします。・・・あなたはもう下がってよろしいですよ」 だが、エルンストは動かなかった。 「・・・ロザリア様・・・少しお時間をいただけますか」 ロザリアは、不思議そうな顔をする。 「この試験が終わっても、お傍にいさせて下さい。・・・貴女と・・・離れたくない・・・」 彼女が軽く息を呑む音が聞こえた。 「あ、あの・・・それは・・・」 さすがに朴念仁の補佐官も、これほどはっきりと言われれば彼が何を言っているのかは察せられる。 「驚かせてすみません。ですが・・・試験が終了した今、私はもう地上に帰らなくていけない。その前に、私の正直な気持ちを貴女に エルンストはロザリアに歩み寄ることもせずに、じっと立ってロザリアの瞳を見つめている。 「貴女の微笑んだ優しい表情も好きです。凛とした表情も好きです。そして何より、貴女が驚いたときの少女のような表情が好きです。 ロザリアは首を横に振った。 「いいえ・・・いいえ、嫌いではないわ・・・でも、わたくしは補佐官ですもの・・・」 その言葉の意味するところは、エルンストにも分かった。 ロザリアは、今、胸が痛いと感じる自分が解せなかった。 その時、別の声が2人の耳に入ってきた。 「補佐官が恋をしちゃいけないなんて決まりはないわよ、ロザリア」 豊かな金の髪をなびかせて姿を表したのは、まだ少女の面影が残る女王陛下その人だった。 |
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||