−2−

 

「ふーん・・・ま、悪くねぇな」

アンジェリークと一緒に窓辺に座って外を見つめると、ゼフェルはそう言った。
部屋は彼が言ったとおり皆出払っており、今はゼフェルとアンジェリークしかいない。
降りつづける雪を飽きもせずに見つづけるアンジェリークに半分呆れて、ゼフェルはアンジェリークの横顔を見つめた。

(幸せな奴・・・)

雪一つでこんなに喜べるとは、うらやましい性格である。

「きれいですね、ゼフェル様!」
「お、おう。まぁな」

突然こちらを向いて笑うから、びっくりした。
とっさに返事をしてしまったが、そう問題なさそうだ。

こういう時間も悪くない。

「ちょっとオレにはなじみのねぇシロモンだけどよ。オレの故郷じゃほとんど積もんねーから、こういう状況って けっこー憧れてたんだ」

気恥ずかしいので視線を外界に固定しつつ、ゼフェルは窓枠に前身を寄りかけてポツポツと話しはじめた。
あまりにも静か過ぎて、何か話したくなったのだ。
隣で、同じように頬杖をついたアンジェリークが興味深そうにこちらを見ているのが気配で分かる。

「外は雪で、家の中には暖炉の火がともってて、吐く息の温かさで窓がくもる・・・ってヤツ。そん時は隣に女がいるだなんて考えてなかったけど」

その言葉に、アンジェリークが軽く苦笑したのが聞こえた。
どうせ、自分らしいとか思っているんだろう。

「ま、おめーだったらいいかもな。だから・・・まだ部屋に戻るんじゃねーぞ」

ぶっきらぼうにゼフェルが言うのと、アンジェリークの呼吸が一瞬止まるのがほとんど同時だった。

「なっ、ななななな、今、今、いま・・・っ」
「ばーか。何どもってんだよ。クッ、おめー顔、真っ赤だぜ。ダッセェな」

ゼフェルは遠慮なく笑った。
慌ててアンジェリークは両手で頬を包んだが、それでもゼフェルに迫るのをやめない。

「ゼフェル様、もう一回!」
「ンな、こっ恥ずかしいこと2回も言えっかよ!」

さすがに赤面するゼフェルである。
アンジェリークは残念そうにもとの体勢に戻ると、ふぅ、と軽く嘆息した。

本当はちゃんと聞こえていた。
だけど、夢かと思った。
だから繰り返してほしかったのだけれど。

アンジェリークはもう一度、頭の中で彼の言った台詞を反芻した。
まだ、胸がドキドキしてる。
まだ、半分夢じゃないかと疑ってる。
それでも。

嬉しい。

「嬉し・・・」

アンジェリークはそのまま頬杖を崩して、ずぶずぶと突っ伏した。
幸せすぎて力が入らなくなったらしい。

「ったく、ホンットおめーって幸せな奴・・・」

そう言って、ゼフェルはくしゃっと笑った。


明日からまた苦しい旅が続くけれど、たまにはこんな休息もいい。
相変わらず降りつづける雪を見ながら、2人は同じ事を思っていた・・・。

・END・

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+あとがき+

この作品はキリ番11111を踏んだ 美里さまに捧げます。
うわああ、こんなのしか書けなくてすみません(汗)。
せっかくの初SSリクエストだったのに、スベった感がひしひしと・・・ぐはっ(倒)。
一応、ゲームの台詞と微妙にリンクしてます。ちょっとムリが感じられるのはそのせいです(駄目じゃん)。

美里様、これに懲りずに、また遊びに来てくださいね〜(懇願)。                    萩野


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