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「ふーん・・・ま、悪くねぇな」 アンジェリークと一緒に窓辺に座って外を見つめると、ゼフェルはそう言った。 (幸せな奴・・・) 雪一つでこんなに喜べるとは、うらやましい性格である。 「きれいですね、ゼフェル様!」 突然こちらを向いて笑うから、びっくりした。 こういう時間も悪くない。 「ちょっとオレにはなじみのねぇシロモンだけどよ。オレの故郷じゃほとんど積もんねーから、こういう状況って けっこー憧れてたんだ」 気恥ずかしいので視線を外界に固定しつつ、ゼフェルは窓枠に前身を寄りかけてポツポツと話しはじめた。 「外は雪で、家の中には暖炉の火がともってて、吐く息の温かさで窓がくもる・・・ってヤツ。そん時は隣に女がいるだなんて考えてなかったけど」 その言葉に、アンジェリークが軽く苦笑したのが聞こえた。 「ま、おめーだったらいいかもな。だから・・・まだ部屋に戻るんじゃねーぞ」 ぶっきらぼうにゼフェルが言うのと、アンジェリークの呼吸が一瞬止まるのがほとんど同時だった。 「なっ、ななななな、今、今、いま・・・っ」 ゼフェルは遠慮なく笑った。 「ゼフェル様、もう一回!」 さすがに赤面するゼフェルである。 本当はちゃんと聞こえていた。 アンジェリークはもう一度、頭の中で彼の言った台詞を反芻した。 嬉しい。 「嬉し・・・」 アンジェリークはそのまま頬杖を崩して、ずぶずぶと突っ伏した。 「ったく、ホンットおめーって幸せな奴・・・」 そう言って、ゼフェルはくしゃっと笑った。 明日からまた苦しい旅が続くけれど、たまにはこんな休息もいい。 ・END・ |
+あとがき+ この作品はキリ番11111を踏んだ 美里さまに捧げます。 美里様、これに懲りずに、また遊びに来てくださいね〜(懇願)。 萩野 |
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