納得しがたい出来事 |
「ねぇ、お願い。分かって」 真奈美は半分は困って、もう半分は怒ったような口調で、先ほどから背中を向けている一紀に言った。 「今でも一紀のことが好きよ。その気持ちは変わらないわ。お願い最後まで話を聞いて」 彼女の温かな手が、一紀の肩に置かれた。 「一紀っ!」 とうとう真奈美は声を荒げた。 「…もう僕は、一番じゃないんでしょ。尚の次なんて僕は嫌だ…」 一紀が、消えそうな細い声でぽそりと呟いた。 「そんなことない!2人とも一番に好きよ。どっちがどうってわけじゃないの。言ったでしょ、今も一紀が大事なことに変わりないって」 その言葉は、冷たく一紀の胸に突き刺さった。 真奈美はある日突然いなくなり、数日後に自分より若い男と共に帰って来た。 「これ以上、尚と一緒に住まなきゃならないなら、僕は出て行く!」 一紀は立ち上がった。真奈美は、はっとして一紀の腕を掴む。 *** 真奈美が、柔らかな優しい声で言う。 「ねぇ、一紀。もう一紀はお兄ちゃんになったんだから少しガマンしてね。尚はまだ赤ちゃんだからママが色々してあげなくちゃいけないのよ。でもママは一紀のことが大好きよ。いつだって大好きよ」 一紀は母親の胸の中で、こくんと小さくうなずいた。 END |
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