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「お前は強いね・・・」 木々の合間を縫うように歩いていると、突然に女はそんなことを言った。 「お前は私の身体を見ただろうに・・・。私の業の深さを知っただろうに、また私のもとへ戻ってきた。 女が先を歩いていたので、男からは顔が見えなかったが、どんな表情をしているのか、何となく男には分かった。 「私は男とも女とも分からぬ身さ。肉親でさえ私を忌んだのに、お前は私の夫となったのだからね…」 月が皓かった。何もかもが良く見えた。 「お前は……きれい、だ。だから、欲しい・・・なった」 男が片言の言葉を喋った。 案の定、女は驚いたようだった。 「話せたのかい? 昨夜は何も言わぬから、ものが言えぬと思っていたが・・・そうか、言葉を知らないのだね」 女は月光を浴びて、うっとりと笑うと、また前を向いて歩き出した。 不思議だ。と男は思った。 なぜ、女がこんな姿をしているのだろう。 ―――――殺されるのに。最後は、自分はこの女に殺されるだろうに。 「!」 枯葉を踏む音がした。彼らのものではない。 男は喉まで出掛かった悲鳴を無理やり飲み込む。 ガサッ。ガサッ。ガサッ。 木々の間から、ようやく足音の主が現れた。 「あら?」 2人がいることに気づいて、少し驚いた顔をしたときだった。 「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!」 身を引き裂くような悲鳴が上がった。 衣服がすでに真っ赤であった。 |
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