お姫様の苦悩 |
しん、と静まり返った塔の中。 王国は眠りに支配され、荊によって閉ざされた。 取りも植物も風さえも眠る王国。 すべての始まりは王女の誕生会。 一人だけのけ者扱いされたと思った魔法使いは、愛らしい王女に呪をかける。 「糸紡ぎの針を刺し、王女は17歳で死ぬだろう」 最後の魔法使いがその呪を眠りに変えたが、それでも100年の眠りが言い渡される。 けれど、これから始まるのは これとはまた別のお話…。 ++++++++++++++++++++ 「冗談でしょ、ちょっとっ!!」 17歳の王女イザベラは、覚醒して数分後には声を荒げていた。 「なんで今度はあんたが眠るのよーっ!」 そう。 「ああ私は幸せだ…こんなに…素敵な姫と…出会えて…婚約も取り付け………ぐう」 そのまま彼の両肩をつかみ、がくがくと揺すったが青年が目を覚ます様子はない。 「どうしよう…ねぇ…なんでよ…?」 イザベラは泣きたくなった。 「わたし…まだ夢を見てるの…?」 まばゆい程の光の色をした髪をたらし、イザベラは両目をごしごし とこすった。 「呪はとけたの?」 もう一度青年の傍に戻り、そっとその頬に触れた。 「イザベラよ!」 突然大きな声で名前を呼ばれて、イザベラは身体をすくませた。 「お、お父様…」 息を切らせて入ってきたのは、実父である国王だ。 「お父様達も眠っていたの?」 100年前と全く変わらない母のおっとりした物言いに、イザベラは緊張の糸が途切れたよう 「うわああああああああああああああんっ」 とても年頃の娘とは思えない、みっともない泣き方である。 「イザベラ? イザベラ…どうしたの?」 母が心配そうに駆け寄る。 「…あの人が…あの人が今度は呪に…ふええええん…っ」 そうしてようやく国王は台座で真っ赤な顔をしている青年の存在に気がついた。 「…随分と むくんだ顔だな…」 国王の呟きは、イザベラの泣き声にかき消された。 「私を目覚めさせてくれたのが この人なの…なのに…私にプロポーズした直後に倒れて 国王の威厳はどこへやら。 |
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||