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また、あの人がいらっしゃったわ。 キラキラ光を反射するプラチナブロンドの髪。 何て綺麗なのでしょう。 ああ、でも今日は見ているだけでは駄目よ。 今日は神様が下さった唯一のチャンスですもの。 気持ちを伝えなくっちゃ。後悔せずにすむように。 「あの…」「はい?」 振り向いたあなたの驚いた顔といったら! 「毎日、来て下さってありがとう」 信じられないのね。無理もないわ。 「あなたが来て下さって、私とっても嬉しかったの。その、私、あなたのことが・・・」 まぁ、せっかく人が勇気をふりしぼって告白してるのに。 「君は、あの絵の・・・?」 あら? あんまり嬉しそうじゃないわ。 「これは・・・興醒めだな」 何を言っているの? 「私が好きではなかったの?」 ならどうして? 「分からない? 君は僕の中で完璧だった。愚かなことも言わず、僕に何もねだらず、ただ慎ましく微笑んでいた。僕の想像上の恋のお相手には十分だったよ」 ああ、どうしてこの人はこんなにも冷たい目で私を見つめるの? 「僕は君が好きだった。でも君と恋をしたかったわけじゃない」 あんなに私を見つめていたのに! 「・・・ごきげんよう。二度と私の前に現れないで」 日が、暮れるわ。 <<後悔したかい?>> 神様。いいえ、後悔はしてません。 もっとも、私が本当に生身の人間でしたら彼の頬に一発くらわせてましたけれど。 <<おいで>> もう、行ってもよろしいのですか?私の魂を連れて行ってくださいますか? <<新たな生命に宿らせてあげよう。何を望む?>> それなら。どうぞ次の生もまた、女にしてくださいませ。 ・END・ |
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